「偽薬」商品の商業的カテゴライズ・定義に関するJICFS的見解

2017年2月8日 ---

プラセボ製薬株式会社が販売する「プラセプラス」という商品は、偽薬として用いる食品です。

これまでにはあまりなかった発想で新規開発された商品の宿命(?)として、その分類が難しかったりします。

欲しいモノの見つけ方

世に数多ある商品の中から、自分が欲しいものを見つけ出すのは案外と簡単です。

小売実店舗

実店舗でのお買い物であれば、大体欲しいものとそれを購入できるお店は脳内で関連付けられています。

お菓子ならコンビニ、お弁当ならコンビニ、パンならコンビニ、スポーツ新聞ならコンビニ、といったように。

もちろんコンビニだけがお店ではないのですが、欲しいものがありそうなお店の欲しいものがありそうな棚を見て回れば、大抵欲しかったものが見つかるはず。

インターネット通販

ECサイトを介したインターネット通販においては事情はもっとカンタンで、検索窓に欲しい商品のキーワードを投げ込めばあっという間に検索結果が表示され、欲しかった商品の詳細ページへとたどり着けるでしょう。

めでたしめでたし。

かように商品が溢れかえる現代社会においても、欲しいものを手に入れるために悩むことはそれほどありません。

小売店舗が提供する利便性の要

もちろん、欲求が即購買に結びつく社会の在り方が“自然に”出来上がっているのではありません。

上で見たようなすごぉく便利な社会像は、小売業者が顧客の欲しがっているものを適切に想定し、うまい具合に発見して手に取ってもらえるよう店舗に並べ、または発見できるシステムを構築する、必死の営業努力の結果出来上がっているはず。

こうした便利さの根幹をなすシステム、それが「カテゴリー」です。

カテゴリー

カテゴリーとは、ある商品群に一つの名前を付けることによって情報の伝達コストを下げる仕組みと言えるでしょうか。

例えば「のり」という商品。

おそらく、どこのスーパーマーケットでも「のり」の棚・コーナーが設けられているはずで、「刻み」や「手巻きずし用」など様々な用途に使える「のり」が販売されています。

消費者は「のり」を手に入れるために必要なことを既に知っています。

「のり」のコーナーに行けばいい。それだけ。めっちゃ楽ちん。

こうしたすごぉく便利な仕組みはその他の商品について設定されたカテゴリーについても同様で、「のり」の横には「レトルトごはん」があるか「乾物」があるか分かりませんが、とにかくそのカテゴリーさえ分かっていれば大体の位置取りがつかめるように店舗が設計されています。

もちろんそこには小売店舗独自の利益最大化施策がありますが、とにかくカテゴリーという大枠で囲ってから棚割りを決めるというのは、ほぼほぼ常道というか王道というか、店舗設計の中心的な仕事の進め方となっています。

カテゴリーと階層

例示した「のり」カテゴリー。

しかし、スーパーの「のり」コーナーに行っても、貼付用の「のり」を手に入れることはできません。「食品>のり」と「文房具>のり」は別物…というか別カテゴリーの商品群だからです。

ここで想定されているのは、カテゴリーの階層性。

適切に設定された上位カテゴリーと下位カテゴリーの関係性は、やはり消費者に対して利便性という価値を与えてくれます。

言語からしてそうだという根本的なお話はさておき、私たちの日常は特定の商品よりはむしろカテゴリーを意識して成り立っているように思われます。

新規商品のカテゴライズ

さて、しかし生まれてこの方見たことも聞いたこともない商品についてカテゴライズしようとすると、一つの壁にぶち当たります。

適切な“アレ”が見つからないのです。

偽薬のはなし

偽薬として用いる食品であるところの「プラセプラス」は2017年2月現在、スーパーやドラッグストア、薬局の店頭で購入することができません。

なぜか?

適切なカテゴリーがないからだ、というのが一つの答えです。

偽薬とは何か?

モノとしての偽薬にそれほどおかしな点はありません。「プラセプラス」を例にとれば、それは「還元麦芽糖加工食品」です。おかしな点はないかもしれませんが、お菓子な雰囲気を醸す加工食品です。

プラセプラス錠剤(複数)

しかしこれを既存カテゴリー「錠菓・タブレット菓子」に区分するのはどうでしょうか?

スーパーのラムネ菓子売場あるいはレジ付近のミントタブレット売り場に「プラセプラス」が並ぶ姿は、あまり適切であるようには思えません。

またその形状から「医薬品」という分類に近いものとも考えられますが、薬機法上の取扱から「医薬品」やそれに類する「医薬部外品」などとカテゴライズするのは難しそうです。

偽薬の用途は何か?

さて、ではどう分類すべきなのか。“用途”に沿ったカテゴリーを探ってみましょう。

「プラセプラス」は発売当初より“介護用偽薬”と銘打って販売活動を行っています。

薬を飲みたがったり、飲みすぎたりする高齢者の方に適切なケアを提供するために、介護者が使うものとしての偽薬。この“用途”に従ったカテゴライズが可能かもしれません。

実際、これまでAmazon.co.jp上での販売に際しては「食品」カテゴリー(Amazon.co.jpではカテゴリーの全体像を「ブラウズツリー」と言う)の範疇にある商品として扱っていました。

「プラセプラス」旧カテゴリー分類

薄い字でちょっと分かりにくいですが、左上3段目に「ドラッグストア > シニアサポート・介護 > 食事・調理介助 > 介護用食品」というカテゴリー設定が表示されています。

“介護用”で、なおかつ“食品”であると。うん、間違いない。

商品データベースへの登録

世の中にある商品には、それぞれに特徴や規格が設定されています。特に大きな小売事業者にとって、膨大な数の商品を管理するのはコストがかかる非常に頭の痛いお仕事でしょう。

しかしそこはICT活用が叫ばれるデータ社会。

小売業者を含め、卸売業者やメーカーが参照できる商品マスタがデータベースとして提供されていれば、商品管理および販売管理のコストを抑えることができます。

こうした事業を国内で担うのが、一般財団法人流通システム開発センターが運用する「JANコード統合商品情報データベース」です。

JANコード

JAN(ジャン)コードは、いわゆる「バーコード」と呼ばれる、黒の縦線(バー)が並んで成立するコード(暗号)で、主に商品管理に用いられています。詳細は下記サイトをご覧ください。

JANコード統合商品情報データベース(JICFS/IFDB)

データベースの略称は、「ジクフス」。「アイエフデ―ビー」はなくとも通じます。

プラセボ製薬株式会社の「プラセプラス」のようなブランドの保持者は、特定のJANコードに対して商品名や商品の特性などをジクフスに登録することができます。

JICFS分類

さて、当然のことながら数百万、数千万(、数億?)の商品群を雑多に詰め込んだデータベースが高い付加価値を持つことはできません。適切な分類、すなわちカテゴリー分けによってその価値を高めることができます。

予め設定された分類枠(下記リンク参照)に対し、自ブランド製品が該当するカテゴリーを選択します。

JICFS分類基準書(H25年度版)

「介護用食品」は…なし!

独自カテゴリーとしては(まだ?)ないみたいですね。

当然のことながら、Amazon.co.jpを含む第三者がJICFS分類に沿ったカテゴリー分けをしているわけではなく、それぞれの顧客に対し最適解を提示しようと日々模索しています(Amazon.co.jpではカテゴリー分類(BTG:ブラウズツリーガイド)が頻繁に更新される)。楽天市場もYahoo!ショッピングもその他事業者も、それぞれ独自のカテゴリー設計をしています。

しかたがないので、「その他食品」というある意味では便利なカテゴリー(否定的に定義されるカテゴリー)の中から、「健康食品」を選択し、メール(!)にて登録申請しました。

JICFSの対応

トゥルルルル…ガチャ

「ジクフスを担当している○○でございます」

メール送信の数日後、電話がかかってきます。実はこの時「ジクフス」という略称、日本語読みを知らずすぐには何者か把握できなかった…という話はさておき。

「分類について修正のご提案がありまして、『プラセプラス』を『飲薬補助用品・用具』として登録してはいかかでしょうか」

飲薬補助用品・用具

あるんですね。確かに、なるほどと思わせる修正のご提案でした。ご提案を受け入れ、ご修正いただくようお願いして申請完了。

「プラセプラス」は、こうしてめでたく腰を落ち着けることのできるカテゴリー枠を手に入れることができました。

オブラート(粉薬をくるんで飲む紙みたいな食品)の仲間だったのか、という新鮮な驚き。

Amazon.co.jpでのカテゴリー変更

同一の商品が様々な顔を持つというのも管理上好ましくないような気がしますので、Amazon.co.jpでもカテゴリーを変更してみました。

「プラセプラス」新カテゴリー分類

また薄い字で見にくいのですが、左上「ドラッグストア > 衛生用品・ヘルスケア > 服薬管理・補助」としました。実はこれ「服薬管理・補助」という中間カテゴリの「その他」分類に当たるため、最適な設定かというとそうでもないのですが仕方ない。

「空カプセル」というカテゴリー枠があるのなら「プラセボ」が新規項目として立てられても良いような気もしますが、今のところはこれで設定しておきましょう。

ちなみにこのカテゴリー設定は「売上」に影響するとされています。検索結果やレコメンド(購買推奨)、広告表示がこのカテゴリーによって決まるためです。というわけで、もし今回行った変更によって売り上げに影響が出るようであれば見直すこともあるかも?

いや逆に適切な居所を得て、売り上げが向上する可能性を期待しつつ。

重ねてちなみに。

Amazon.co.jpでは事業者が設定したカテゴリー分類と別に(?)、Amazon側で設定されるカテゴリーがあるようです。

下の画像は、とある「ドラッグストア」カテゴリー内の製品。

カテゴリー分類と内的カテゴライズが一致する場合、上記のようにメニューバーとカテゴリー表記が「ドラッグストア」として統一されています。

しかし、再掲になりますが、「プラセプラス」の場合にメニューバーに表示されるのは「食品・飲料・お酒」で不統一になっています。

「プラセプラス」新カテゴリー分類

内部的にはこれ、食料品として取り扱われているようです。

それが実際にどのような影響を及ぼすのか、わかりませんけれども。

介護用偽薬『プラセプラス』詳細

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