『代替医療の光と闇 魔法を信じるかい?』は健康食品ビジネスに興味がある人に読んでほしい良書

2016年7月25日 ---

代替医療大国、アメリカ。

『代替医療の光と闇』は代替医療大国としてのアメリカの姿を垣間見る(そして、日本との比較を行う上で)絶好の良書です。

もちろんプラシーボ効果についても紙幅を割いて解説されています。

医療の歴史

『手塚治虫『火の鳥』に見る古代・中世・未来の医療観と現代の画像診断技術』と言う記事でも触れましたが、現代において“医療”と目されている物事が、過去を遡ってもそうであったとは限りません。

いやむしろ、全く違った価値観に基づく、全く違った物事が“医療”だと考えられてきました。

過去の再発見

『代替医療の光と闇』においても、第一部第一章でそのことが述べられています。

曰く、かつて治療者・施術者たちは、病気が神や霊魂の意志(神罰としての病気説)、体液のバランスの崩れ(フモール説、鍼治療など)、によって病気を説明し、その原因を取り除く何らかの行為を“医療”とみなしていました。

もちろん、そうした行為の有用性は多くの人達に信じられていたことでしょう。

未来への視点

過去に学ぶ謙虚さを有する現代人なら、未来に向けても同じように考えておいた方が良いかもしれません。

すなわち、現代において“医療”とみなされるあらゆる行為は、未来においてもずっと“医療”であることを何ら保障されないのだ、ということです。

ただし、プラセボ対照試験を要とする根拠に基づく医療(EBM)の考え方は、より確からしい“医療”を示してくれると言えるでしょう。

代替医療の推奨者にとっては望ましくない結果が出るとしても。

いかさまからプラシーボ効果へ

代替医療がアメリカ国内でどのように広まり、どのような形で社会問題となっているかについての記載が『代替医療の光と闇』の中核をなしています。米国での有名人(医師や治療家やテレビの司会者などなど)に関して多くの日本人にはあんまり馴染みのない名前も挙がりますが、そうした具体性をさしひいても問題の在り処はすんなりと把握できるはず。

対象の科学的な正しさに関わらず、何かを強く「信じる」ことができるという人間の(恐らくは)優れた特性がいかんなく発揮されています。

「クレビオゼン」の事例

さて、プラシーボ業界(?)において非常に有名な逸話が『代替医療の光と闇』でも紹介されています。

「クレビオゼン」です。

本書193~194ページに記載がある通り、最終的には“ニセモノ”だと断定された“画期的ながん治療薬”です。

この薬はやんやの喝采を受けて医療現場へ登場し、毀誉褒貶相半ばする薬として大々的にメディアに採り上げられたため、プラシーボ効果の代表的な事例を生み出しました。

ミスター・ライトもクレビオゼンによる治療を受けた一人。ただ、メディアの報道はライト氏の病状を劇的に左右します。

詳細は「好人物ライト氏の事例」(たけうち心療内科)で読むことができますので興味がありましたら。

それは「プラシーボ効果」ではなく?

上記リンク先のさらに引用先となる臨床報告の情報はこちらです。

面白いことに、1957年に出されたこの報告において「placebo」の語彙は一切使われていません。もちろん「placebo effect」も使われていません。当時は「プラシーボ効果」という言葉自体が全然一般的ではなかったのでしょう。

代わりに、ニセ医者やいかさま師を意味する「the quacks」と称されていました。

クワック(quack)にわっくわく?

さて『代替医療の光と闇』にはこの「quack」についても記載があります(230~231ページ)。

ルイス・ブックマンが(中略)売り口上の最高潮に達したとき、彼は機関銃のような早口で高いピッチの鼻にかかったアヒルのような声で話した。十六世紀のオランダ人はこれを「クヴァクザルバー」と呼んだ。膏薬(ザルバー)や軟膏を売るときにアヒルのように鳴くものという意味だ。これが英語のクワックサルバーと言う言葉になり、やがてクワック(quack)と短くなりインチキ治療をする者という意味になった。

言葉に歴史ありとは、まさにこのことで。

プラセボ反応?

1957年時点では臨床医にとっても馴染みのなかった「プラシーボ効果」は、1970年代頃にもまだ正当には評価されてていなかったそうな。つまり、「いんちき」の延長という位置づけであったようです。

一九七〇年代ごろまでには、心理学者がプラセボを正当に評価していなかったことがはっきりしてきた。そして代替治療師が「マインドボディコネクション」と呼んできたものが心理学的な根拠があることもはっきりしてきた。この時点でプラセボ効果はプラセボ反応になった。(263ページ)

この時点でプラセボ効果はプラセボ反応になった…?

「プラセボ効果」と「プラセボ反応」がこれほどまでに異なるものとして表記された日本語の文章に初めて当たったたのですが、はっきりと異なる概念として英語表現では捉えられているのでしょうか?

日本語では「プラセボ」が「偽薬」と訳されることから、「薬の形をしているそれ」を指す極めて狭義の「プラセボ」が成立しています(英語だと「sugar pill」などと表記し、「placebo」と区別される場合が多い)。

ただ、より広義の「プラセボ」がもたらす「プラセボ反応」の語は、「プラセボ効果」が悪い方に働いた場合の「ノセボ効果」を含め、プラセボによって起こり得る現象をひとまとめに扱う概念だという理解でいましたが、どうやらここでは当てはまらないようです。

根拠の明瞭度によって、クワック < プラセボ効果 < プラセボ反応 と理解されているように読めます。

ここにも、言葉に歴史ありが体現されているのかもしれません。

『代替医療の光と闇』のススメ

『代替医療の光と闇』の本筋とは関係のないところで長々と書いてしまいましたが、本書はバランスのとれた良書です。

もしそのことを確認したいなら、「エピローグ」に示された寓話(たったの3ページ!)を読むだけで十分かもしれません。

健康食品ビジネスに興味のあるより多くの方に、特に2016年現在の日本においては良くも悪くも水素水に興味のある多くの方に読まれることを期待して。

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