プラシーボ効果に関する優れたYoutube動画が英語だったので日本語解説

2015年12月8日 2016年6月13日

プラシーボ効果に限らず、インターネット上の科学的な動画コンテンツに関しては圧倒的に英語のものが優れている気がします。

上記ツイートで紹介した動画もそう。

ただ、日本に住む日本人にとって英語で提供されるコンテンツは無視か、よくて敬遠されることが多い気がしますので日本語での解説を試みたいと思います。

プラシーボ効果(プラセボ効果、偽薬効果)って何なんだい?初めて聞いたよ。

ってな方は、下記リンクより日本語動画から視聴されることをオススメします。拭いきれぬ「おべんきょっぽさ」がありますが、何事かを知るには最適かと思います。

『とっても分かりやすいプラセボ動画』

日本語解説…のその前に、どうして英語のコンテンツが優れているのか考えてみました。

英語で動画制作する理由

世界の共通語たる英語と、世界を繋げるテクノロジーたるインターネット。

「投資効果」の観点からインターネット動画制作の費用対効果を算出すれば、自ずと英語での制作が選択されるでしょう。ましてや、今回取り上げる動画は世界中で利用されているDropbox(ドロップボックス)が提供元。

ファイルを安全に保存、同期、簡単に共有できるサービスとして、もちろん日本人ユーザーも多いドロップボックスですが、主たるユーザー層は紛れもなく英語圏の方。Youtubeでの「宣伝広告」と同時に、「広告収入」を得ることが期待されているはずです。

優れた動画コンテンツを作る強い金銭的なインセンティブ(動機)がある。

お金儲けが汚いものとして嫌悪されることもままある日本、また専ら日本人のみをターゲットとしなければならない日本語動画が英語動画ほどには洗練され得ない理由がここにある気がします。

日本語動画の提供元は?

紹介した日本語の動画は、政府の助成を受けて北里大学の附属研究機関が作成されたものです。そこには教育的な目的はあれども、興味を引く、面白くするという目的がない、あるいは二次的、三次的なものでしかないように見受けられます。

閲覧数も3桁(数百回)であり、作成時に使用された助成金の額と、教育として、認知度向上としての効果は見合ったものであるのか…(もちろん、だ・れ・もそんなことを気にかけないし責任も取らないという問題がないことを祈るのですけれど)。

動画の内容

さて本題の動画を詳しく見てみましょう。

提供元の紹介に引き続き、自己紹介から始まります。ジョセフ・ハンセン医師、医学博士。

若いお医者さんですが、ちょいと立ち止まって考えてみれば、これは恐らく俳優さんでしょう。もちろん、「Dr.」や「Ph.D.」などの資格があるのかないのか、わかりません(これだけ多岐に、かつ流暢に科学的事柄を語るところから見れば、有資格者かもしれません)。

問題は、既にプラシーボ効果を発揮せしめる「権威」の笠をこの人が被ったということです。地位や肩書は、その人が語ることの「説得力」に影響します。心理学的に。プラシーボ効果的に。

早速吹っかけてくるこの感じ。実に面白い。

いろんな症状に“効く”

続いて、プラシーボ効果が“効く”ことが科学的に証明されたとして、20個以上の症状が列挙されます。

  1. Boredom:倦怠
  2. Headache:頭痛
  3. Fatigue:疲労
  4. Blurred vision:視力障害
  5. Deja vu:既視感
  6. Dad bod:お父さん体型
  7. Uncanny valley:不気味の谷
  8. Receding hairline:毛の抜け上がり
  9. Star wars overhype:『スターウォーズ』を大げさに騒ぎ立てる
  10. Dihydrogen monoxide intolerance:一酸化二水素不耐性
  11. Acid reflux:呑酸(どんさん、口の中に酸っぱさが広がること)
  12. Tooth decay:齲蝕(うしょく、虫歯のこと)
  13. Post-micturition convulusion:排尿後痙攣(けいれん、おしっこ震え)
  14. Chronic back pain:慢性腰痛
  15. Toenail goblin:足指の小悪魔って…水虫?
  16. Binge watching:連続ドラマなどを一気見すること
  17. Climate change denial:気候変動の否定
  18. Restless leg:むずむず脚
  19. Popped collar:ポロシャツの襟立て
  20. Obsessive selfie disorder (OSD):強迫性自撮り障害
  21. Hypochondriasis:心気症(しんきしょう、思い込み病)
  22. Antoypochondriasis:抗心気症(接頭辞は「anti-」?)

ガンガンぶっこんでくるこの感じ!病気じゃねーし、みたいなのがたくさんあって面白い!(^ρ^)

「一酸化二水素」ってH2Oのことで、つまりは水ですからね。英語圏では知られたジョークです。

オシッコした後に震えちゃう現象にもプラシーボ効果が“効く”とか、ドラマのイッキ見に“効く”とか、スマホでの自撮りをばっかりしている人を病気呼ばわりするとか、ネイティブの英語話者ならしょっぱなのこの部分から既にニヤケながらこの動画を観ることになるわけです。

いかに「オモシロさ」にこだわっているかが分かるでしょう。

プラシーボ効果の科学的探究(1:14~)

ビーチャー医師の発見と効果の記述

第二次世界大戦中に北アフリカの戦場で軍医として活躍したH.ビーチャー医師の話が紹介されます。

極めて真面目なこの話題は、先ほどのニヤケとは打って変わって、「興味深い」という意味での「オモシロ」へと導いてくれます。

戦場では傷ついた兵士の数に対して投与できる鎮痛薬の数が圧倒的に不足してしまいました。そこでやむなく、仕方なく、鎮痛成分を含まない「生理食塩水」を注射したところ、兵士たちからは安堵の声が漏れます。

「ふぅ、痛みが治まったぜ…」

驚いたビーチャー医師は、戦後、「偽りの薬」によって様々な症状が治癒したように見えるこの不思議な現象をラテン語から取った「プラシーボ効果」として研究をすすめました。

プラシーボとは?

プラシーボを「偽薬(ぎやく)」として狭義に捉えてみれば、偽薬とはホンモノのクスリに見た目を似せて作り、薬効成分だけを含まないニセモノの薬です。

動画内でも紹介されたこちらの論文によれば、プラシーボの成分は特定のものではなく、また科学研究に用いられる「プラシーボ」が実際なんであるのか開示する例は8%に留まるとのこと。

ただ、現在ではプラシーボ効果の解明を主目的とする研究もあり、こちらでは「プラシーボ」の語が何を指すのか積極的に示される例が多いように思います。

続・プラシーボとは

プラシーボ効果の強度は、プラシーボの見た目・剤型によって変化します。

錠剤よりは、カプセルが。カプセルよりは、注射が。注射よりは、機械でより強くなる。いずれも、“効かない”はずのものであるにも関わらず。

さらには、患者に対する医師の親密で時間を掛けた語り掛けがプラシーボ効果を生じさせることもあって、すでに「偽薬」の語義の範囲を超えていると言えるでしょう。

また、薬剤2個になり、安いジェネリックよりは高価な先発薬の方が、さらにはファンシーな包装とそれっぽい薬剤名が与えられた方がプラシーボ効果が強力になる。

我々の持つ、洗練された医療行為に対する期待感が関係していると考えれれています。

優れたプラシーボを求めて

睡眠薬としては青色のプラシーボが、興奮剤や鎮痛剤としては赤色のプラシーボが、抗うつ剤としては黄色のプラシーボがより良く“効く”。もちろんいずれにも薬効成分と考えられるものはないのに。

不思議ですね。

ただの思い込み?(2:53~)

プラシーボ効果を「思い込み効果」として矮小化し、心理的な作用、移ろいやすい気分を変調させる主観的な効果として捉えることがしばしばあります。

簡易・簡便な説明としては、その用を果たすでしょうけれど。

脳で起こる客観的変化

モルヒネ様の効果を持つ生理活性物質オピオイドや、気分形成に関わるドーパミンなど、脳内の物質が実際に放出されたりして、高次脳機能を調節すると言われています。

ただし、ガンを縮小したり、外傷を癒したり、身体の欠損部位を再生したりといったことが不可能であるという、プラシーボ効果の限界があります。

臨床試験(3:33~)

製薬企業が新薬を販売しようとする際、プラシーボ対照試験で効果を実証し、保健機関より承認を受けなければなりません。

プラシーボ効果よりも効果がある、すなわち真の効果があるので世に出すことには価値がありますよ、と証明しなければならないのです。

奇妙な傾向

しかし、プラシーボ対照試験をパス(通過)して承認を受ける薬の数は年々減少しています。なぜでしょうか?

プラシーボ効果が徐々に強くなる、という奇妙な傾向がそこにはあります。しかもアメリカ合衆国に限り。

その原因の一端は、米国の他はニュージーランドでしか認められない医療用医薬品の一般視聴者向けコマーシャルが関係しているのかもしれません。

本動画のハイライトたる「ニセ医薬品のニセTVCM」以降の解説は稿を改め下記より。

ニセ医薬品の偽テレビCM動画が秀逸すぎるので日本語解説の後編 »

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