毒薬・劇薬・偽薬の類は徳川幕府が禁止!江戸時代の売薬規制とは?

2015年12月12日 2016年1月29日

大方の学生にとって歴史の授業がつまらなかったり睡眠時間だったりしたのは、現代に生きる子供たちにとって一切の関係性がない(もしくは、見えてこない)事柄を延々と覚え込まされるから…でしょうか?

実は、大人になって現代社会が見えてくるようになると途端に歴史は面白くなります。記憶力テストもないですし。

中学生や高校生にとって「文化」や「経済」や「政治」なんて知らないし分からないし、なのに暗記力だけを試されるようなテストで成績は付けられるのだから面白いはずもなく。

社会人の学び

賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ。

大学で専門的な事柄を学んでいたり、社会人として働く中で特定の業界に深く携わったり。そんな経験を経てから興味ある業界の歴史を学ぶと様々な新発見があって、驚くほど楽しめたりします。温故知新、最高。

偽薬に歴史あり

プラセボ製薬の『プラシーボ辞典』において「偽薬」という言葉の用例に触れています。

日本国語大辞典〈第4巻〉によれば、日本語における「偽薬」の用例は貝原益軒の『養生訓』(正徳三年(1713)成立・刊行)まで遡ることができます。

実際にどんな文章中だったかは「偽薬」の項をご参照いただくとして、1713年、江戸時代には「偽薬」が使われていたことを示しています。

※なお、江戸時代に用いられた「偽薬」と現代の「偽薬」、言葉は同じですが、その意味するところは若干の、かつ重大な差異があること明示しておきます。江戸時代に錠剤やカプセル剤などはもちろんなく、もっぱら草根木皮の生薬が用いられ、これに似せた物が「偽薬」とされていました。

江戸期の偽薬

最近、『薬包装の近現代史』という本を読みまして。

医薬品の包装の歴史、というニッチでマニアックな分野の研究書。(なお、浅く広く歴史を扱う本、例えば2時間で世界史丸わかり的な本よりも、狭く深く、特定のニッチな分野に限りなくフォーカスを絞った本の方が社会人の学びにはオススメ。)

ここに、「偽薬」の歴史の一端が描かれています(p78~)。

時は江戸時代。売薬(今でいう一般用医薬品、OTC医薬品)の製造販売についてはお役所の規制等ほとんどなく、自由放任な商業、営業の実態がありました。

ただし、幕府は毒薬、偽薬の禁止には取締りを強化したそう。

毒薬、偽薬などは社会を混乱させ支配体制が損なわれる危険もあったため、「支配者安泰」という狙いから禁止されたようです。

現代的視点で見れば「国民の安全を守る」ということが第一目的とされるでしょうが、そうした思惑はなく専ら「支配者安泰」が目的とのこと。

ザ・江戸、という感じがしてきませんでしょうか?パクス・エドーナとかパクス・トクガワーナとか言われる250年に渡る徳川幕府の治世に、偽薬禁止の歴史あり。面白い。

阿波藩の場合(p80)

現在の徳島県にあたる阿波の国、徳島藩。そこでは、毒薬・偽薬の禁を極刑にて示しています。

毒薬並びに似せ薬種売り候もの

  • 毒薬売り候もの 引廻しの上、獄門
  • 似せ薬種売り候もの 引廻しの上、死罪

引廻しの上、獄門?死罪?…ヒエェ!

幕府のお定め書き百か条(一七四〇年)に従い出された法律だそうで、上記『養生訓』(一七一三年)より少し後の時代の話になります。

明治時代へ(p113)

江戸から明治へと時代が移り、欧米化が急速に進むのは医薬品業界にあっても当然でした。しかし、明治早々の医薬品行政は混乱を極めたようです。

明治早々の衛生担当行政は西洋からの輸入医薬品の贋物や、粗悪品対策に追われていた。贋薬追放は品質以前の問題であり、検査を強化して試験所を作ったりしたが、一八九一年に日本薬局方が出るまでは、その場凌ぎの対策であった。

贋薬(にせぐすり)の問題は、現在でも偽造医薬品、カウンターフィット薬として対策がなされています(詳細はこちら)。

薬包装とプラシーボ効果

『薬包装の近現代史』では、包装の分野にはまだまだ発展の余地があるとされています。

単なる梱包用の資材としての薬包装から、製品・商品の顔としての薬包装へ。

実はここに、プラシーボ効果が関わっています。

それっぽい薬

『プラシーボ効果に関する優れたYoutube動画が英語だったので日本語解説』という記事で紹介した動画中に、にせ薬のパッケージやテレビコマーシャルが出てきます。

思わせ振りなパッケージデザインは、プラシーボ効果を増強する。

実際にそんなことがあり得ますし、製薬各社はOTC医薬品においてデザインに趣向を凝らしており、ある場合には薬効成分以上の効果をもたらしていると考えることができるでしょう。

もちろんノセボ効果として逆に働く場合だってあるでしょうが。

医療用医薬品でも

残念ながら、病院内で処方される薬に凝ったデザインや安心感を与えるキャラクターが示されることはないと思われます。

しかし、プラシーボ効果を実践的に医療に活用することを考えるなら包装が担うその効果は計り知れず、改善・改良の余地があるようにも思われます。

外装を剥いだ無機質なパッケージ。安全性や取り違えることの無い視認性が最優先されるのはもちろんですが、何かできることがあるかも?

医療における偽薬の積極的な利用に加えて、プラシーボ効果を有効に活用すること。

プラセボ製薬では歴史に思い馳せ馳せ、そんなことも考えています。「偽薬」の概念が変遷し、「引廻しの上、死罪」というトンデモナイ規制を受けずに済む現況に感謝しつつ…。

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