薬事分科会規程に見る官公庁内「規程」のいいかげんな取り扱い

2016年9月13日 2016年11月25日

「医薬品第一部会と第二部会の違いは薬食審・薬事分科会規程に基づく」という記事を書くために調べものをしていた際、どうにも納得のいかないお役所仕事に出くわしまして。

どうやら「規程」と呼ばれるものの扱いが、明確にされていないことが問題のようで。

薬事分科会規程の最新版はどこにある?

上記記事内では、厚生労働省の「薬事・食品衛生審議会」およびその下部分科会である「薬事分科会」について言及しています。

その際、最も頼りとするのは「薬事分科会規程」と呼ばれる公的な文書であるわけですが、これがどこに公開されているのかが非常にわかりにくい。

法的根拠を有する公的文書において、その発行年月日および版は決定的に重要であるにもかかわらず、どれが最新版なのか、おそらくどこにも明示されてはいないようなのです。

なぜか?

それは、当の文書が「規程」だからです。

法令ではない「規程」

日本の法令体系はWikipediaに詳述されています。

法令 – Wikipedia

上下関係を有する法令体系を要約すれば、

憲法 > 条約 > 法律 > 命令 (政令 > 府省令)

となるようです。

ここで決定的に重要なことは、「憲法」以下、「命令」を含むすべての法令はデータベース化され公開されているという事実です。現代の法治国家としては当然と言えるかもしれませんが。現に、厚生労働省も下記リンクにて検索サービスを提供しています。

厚生労働省法令等データベースサービス

こちらは「法律、政令、省令、告示等」はもとより、「訓令、通知、公示等」まで検索・閲覧が可能となっています。

ただし。

ここに(おそらく)「規程」は含まれていません。

「規程」と「規定」

少し寄り道になりますが、法律上の紛らわしい用語集があれば確実に記載される「規定」と「規程」。

どちらも読みは「きてい」ですが、その意味するところは異なります。

「規定」は具体的な決まり事。「規程」は決まりごとの集まり、すなわち複数の「規定」をまとめたものです。仕事上の文書読み合わせにおいては「きさだ」と「きほど」で読み分けているそうな。

参考:http://worklifefun.net/difference-of-stipulation/

「規程」取扱いの雑さ

さてこの「規程」ですが、上記Wikipediaリンクによれば「法令ではないが参照されるもの」であり、「次のものは法令ではないが、しばしば法令の解釈の参考にされる。」とのこと。

規程

行政組織の執務に関する内部規則で条文形式で定めている。

内部規則なので外部に示すことを念頭にはおいていないのでしょうが、それにしても扱いがいいかげんなようで。

参考資料として供される「規程」

平成28年、2016年9月現在における「薬事分科会規程」の“最新版”は、おそらく以下のものになろうかと思います。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000113542.pdf

これは、平成28年2月24日(水)に開催された「薬事分科会審議参加規程評価委員薬事分科会」という会議で用いられた参考資料に当たるものです。

附則の不足

ただし、ここには以下の文言が記されています。

附則(略)

もちろん当会議において附則の記載が不要であったための略記であろうとは思われますが、この附則には重要な記載があります。

それは、「施行日時」です。

おそらく、上記参考資料の元となった文書は以下のものでしょう。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000072285.pdf

これは、平成27年1月26日(月)に開催された「薬事・食品衛生審議会 薬事分科会」の資料です。

ここには附則として以下の記載があります。

附則
この規程は、平成26年8月6日から施行する。ただし、(以下略)

この記載から凡その発行年月日が推測されるわけで、Google検索や省サイト内検索などで直接資料に辿り着いた場合には、この記載しか手がかりがないなんてことも良くある話。

それなのに、

附則(略)

となっていれば、どうにも“最新版”であるか否かは判定のつけようがありません。

改正に関して

さらに細かい話になりますが、薬事法等の法改正に伴い「規程」も改正がなされる(というか、互いに参照しあう)ものですが、この改正の経緯を追うのもまた一苦労させられます。

Google検索にて見つかるのは以下のような文書(文書名は「薬事分科会規程の一部改正について」)。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/01/dl/s0124-9d.pdf

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000052772.pdf

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000065479.pdf

これらも大方は会議で提出された資料もしくは参考資料であり、会議のウェブサイトに開催日程は記載されているはずだと思われるものの、検索サイトから直接辿り着いた場合には逆探知(資料ページ → 会議ページ)するのも難しく、いったいいつ出された文書やら判断がつきません。

リンクURLから凡その当たりを付けることができるものの、そんな推測をさせることは誰の利益にもなりません。

また今回はもっと悪いことに、恐らくは資料作成者の手抜きにより、平成26年に出されたのであろう3つ目の資料のタイトルが「平成21年4月  日」というバカげたものになっています。ミスリード万歳。

当件に限らず、資料作成者の多くは前任者の資料をコピペして作っているのでしょうが、日付を記載し、タイトルを修正するくらいの手間を取るべきだと思います。

最後に

「医薬品第一部会と第二部会の違いは薬食審・薬事分科会規程に基づく」という記事で見た通り、薬事行政の要たる新規薬品の承認審査は、その最終段階で薬事分科会の各部会に諮問されることとなります。

さてこのとき、「第一部会」もしくは「第二部会」どちらで扱われることとなるのでしょうか?

この質問に答えるためには、「薬事分科会規程」を参照するしか方法がありません。それも“最新版”を参照しなければ、どんな不都合があるか分かったものではないでしょう。

しかしながら現状では“最新版”の「薬事分科会規程」は、関連会議の参考資料から拾い上げるしかない状況になっています。

それは、法令ではない「規程」の大きな問題点ではなかろうかと。というかむしろ、「規程」の運用の雑さ、いいかげんさを何とかすれば解決する問題なのではないかと思われるのですが…。

まず参考資料にも「いつ」、「どの会議」の資料かを記載してください。お願いだから。

そして是非とも「規程」に関してもデータベース化する、あるいはバージョン管理ツールを公的に用いるなど積極的な情報公開を進めてほしいものです。

文書のバージョン管理については、システム開発者たちが苦労の末に築き上げた「Git」などのツールがありますので是非ご検討を。

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