効かないと思ってお薬飲むとホントに効かなくなっちゃう効果

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「プラセボ」、「プラセボ」などはたまに、「placebo」は毎日のように海外サイトの更新情報を伝えてくれていたのですが、先日初めて「ノセボ」をキーワードとした更新情報が送られてきました。

内容を確認してみれば、『モバP「プラセボ効果とノセボ効果」- えすます!』の更新を伝える情報が補足されたみたい。生憎、アイドルマスターの事は全然わからないのだけれど…。

ちょっと気になる記載があったので引用してみましょう。

気になる記載

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/16(水) 00:45:51.06 ID:2G9hiHtyo

モバP「なるほど。つまり、媚薬だと言われれば、水を飲まされても体が敏感になってきちゃうというアレだな」

志希「女の子相手にその喩えはどうかと思うけど……ま、そーゆー事だね。それだけじゃなくって、お薬の効能自体が上がったりもするけどねー!」

モバP「ははは、初対面でいきなり『惚れ薬欲しい?』なんて聞いてくる相手にそんな気遣いはいらないだろ。プラセボ効果は分かったけど、それじゃもう一つのノボセ効果ってのは何なんだ?」

志希「キミもさらっと失礼だよねー! まーいーけどさー」

志希「それにノボセじゃなくてノセボ効果ね。これはプラセボ効果の逆」

モバP「逆?」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/16(水) 00:46:36.34 ID:2G9hiHtyo

志希「そー。今度は効かないと思ってお薬飲むと、ホントに効かなくなっちゃうってゆー効果

モバP「え、そんなこともあるのか? 本当に?」

志希「そーだよー。あ、これってプロデュース業も同じなんじゃない?」

モバP「ん、どういうことだ?」

ノセボ効果は、“今度は効かないと思ってお薬飲むと、ホントに効かなくなっちゃうってゆー効果”。ふむ、それっぽく聞こえる。

けれど、一般的にノセボ効果とかノシーボ効果とかnocebo effectと呼ばれるのは「(効果がないはずのもので)期待に反する効果が現れること」を意味するので、「効果がなくなること」と「期待に反する効果が現れること」には隔たりがあってムズムズ…。

ちょっと遠回りしながら考えてみましょう。

ノセボ効果とは?

ノセボ効果はプラセボ効果の反義語です。プラセボ効果が「(効果がないはずのもので)期待に沿った効果が現れること」を示すので、ノセボ効果が「期待に反する効果が現れること」とするのは正当なものでしょう。

ただし、期待の向きは各人各様、捉え方によって異なります。睡眠薬と思い込んで大量の偽薬を飲み込んだ自殺願望のある青年が致死的な血圧低下を見せた話を海外の記事(http://thewannabescientist.com/the-anti-placebo-effect/ ※2016.2現在、リンク切れ)で読みましたが、このとき「死」は青年本人にとって「期待された効果」であって恐らくはプラセボ効果と呼べるものでしょう。

しかし周囲の者にとっては死、それも何らの薬物を含まない偽薬による死亡は決して期待するものではありませんので、この一連の現象は死をももたらすノセボ効果の強力さを伝える話として紹介されていました。

いずれにせよノセボ効果は、何らかの効果があることを言い表すための言葉と考えられています。

効果がないとか、効かないとか

数字のゼロの歴史が示すように、ヒトはあるものの不在や無を扱うことが得意ではありません。

“今度は効かないと思ってお薬飲むと、ホントに効かなくなっちゃうってゆー効果”もまた、なんらかの不在、欠損を扱う概念であり、今のところ名前のついていない効果なのではないでしょうか?

プラセボ効果に対する無反応や、真の効果があるとされる薬に対する無反応が注目を集めることはほとんどありません。

無の扱いに関する無頓着は、結構根深く我々の思考を制限しているように思われます。

あるいは、このように単純に考えてみると良いのかも?

[お薬の効果] = [真の効果] + [プラセボ効果]

この時、プラセボ効果がマイナスになる(ノセボ効果が現れる)と、[真の効果]と相殺してしまうことがある…。取り敢えずの納得としては、このあたりが限界かもしれません。

ただし、このような等式表現はとても強力で偏った見做しを前提とし、現実の過度な単純化、理論のための理論であって現実的にはあんまり有用でないことを言い添えておきます。

ノシーボ効果、マイナシーボ効果

プラセボ効果がプラシーボ効果と呼ばれることもあるように、ノセボ効果もノシーボ効果と呼ばれることがあります。これらはそれぞれ同義語であり、どちらが正しいわけでもないため、使いたい方を使えばよいものです。

一方、ノセボ効果の同義語として、「マイナシーボ効果」が持ち出されることがあります。しかしながら、マイナシーボ効果は語源から見た正当性を持たず、一般に認められることもないであろう言葉です。

ただし、上記のような無の概念を弄ぶような事柄を考える上では、はっきりとあり/なしを表現し分ける必要があるようにも思います。

  • 効くお薬が 思い込みで 効く効果
  • 効くお薬が 思い込みで 効かなくなる効果
  • 効かないお薬が 思い込みで 効く効果
  • 効かないお薬が 思い込みで 効かなくなる効果

さて、どれをどう呼び分けましょうか。また効果の方向性(期待に沿って?期待に反して?)も問題となるなら、さらに倍の8通りを使い分けて…南無三!