『「無」の科学』が繋ぐプラセボと集合論

ドーナツの穴だけ残して食べるのが難しいように、無いものについて語るのは簡単ではありません。

しかし、そこには「語られるべき何か」があるように思われます。

ドーナツでも食べながら、「語られるべき何か」について一緒に考えてみませんか?

アナロジカルに語ること

プラセボは他の何かとの共通点によってその本質を浮かび上がらせることができるかもしれません。

以前の記事では、下記の概念との類似性を指摘しました。

  • Lisp、無為自然
  • ジョーカー、ゼロ

より上位の概念である「無」を検討してみましょう。

「無」を科学しよう

『「無」の科学』( ジェレミー・ウェッブ (著), 水谷 淳 (翻訳) 、SBクリエイティブ)では、以下のような概念が「無」という共通概念を通じて語られます。

  • ビッグバン
  • 真空
  • 絶対零度
  • 零(ゼロ)
  • プラセボ

各分野で少し、いやかなり専門的な内容を含んでいるため、わかりづらいところが無くは無い。

ですが、わからないのはあなたや私だけではありません。

世界中の誰にも本当のところはわかっていないのです。

ここまではどうやらわかったようだけれど、ここから先のことは全然わからない。

プラセボも、それ以外の事も、わからないことだらけ。

科学ではわからないこと

『「無」の科学』で紹介される最新の科学情報が理解できなくても安心してください。

科学の最先端は謎と神秘に満ちています。

「わからない」ということがわかれば、我々にはそれで十分なのです。

そしてそれがスリリングな知的体験であることは間違いありません。

「わからない」を抱えて生きていくことは、実に面白い。

特に印象に残った記事

数学におけるゼロの歴史の詳細については『「無」の科学』を読めば分かります。

その最後を飾る記事「どれも無」は数の深遠さをこの上なく鮮やかに見せつけてくれます。

数とは何か?

「数とは何か?」の問いに答えて数を定義することは思いのほか難しく、19世紀後半の数学者たちを悩ませたようです。

しかし数学者たちは苦心の末、ある概念を導入することでこの問いに答えを出しました。

空集合(∅)です。

空集合とは、「誠実なすべての銀行家の集合」、つまり要素を0個含む集合のことです。

これを使って、他の数を定義することができたのです。

  • 0:∅
  • 1:{∅}
  • 2:{∅,{∅}}
  • 3:{∅,{∅},{∅,{∅}}}
  • 4:{∅,{∅},{∅,{∅}},{∅,{∅},{∅,{∅}}}}

何を言っているか分からない?

申し訳ありませんが、詳細は『「無」の科学』でご確認ください。

数の定義とLispの表記

過去記事では、Lispというプログラミング言語を通じてTao(道)とPlaceboの類似について考えてみました。

Lispを少しでも齧ったことのある方なら、即座に上記の数の定義がLispのS式と似ていることに気付かれるでしょう。

それもそのはず。

Lispは恐らく、この集合論的な要素をコンピューターに取り込むことを目的の一つとして設計された、数学性の強いプログラミング言語です。

思いもよらず知識の結びつきが出来上がるのは、読書の大きな楽しみのひとつですね。

プラセボ、ノセボに関して

プラセボも、「悪魔の双子」たるノセボも、未だに新たな事実が明らかになっており、多くの「わからない」を抱えています。

しかしそれがまた、面白い!

プラセボやノセボの存在は、医学を分子生物学や神経化学、また薬理学から引き剥がし、社会科学や行動科学方面へと強い力で追い立てていくようです。

ご興味がおありでしたら、ぜひご一読ください。