ニセ医薬品の偽テレビCM動画が秀逸すぎるので日本語解説の後編

2015年12月8日 2016年6月13日

英語だけれど、英語だからこそのジョークをしれっとぶっこんでくるYoutube動画解説、前編は以下より。

『プラシーボ効果に関する優れたYoutube動画が英語だったので日本語解説』

前回は、臨床試験においてプラシーボ効果が年々アップしているお話まで。この件の詳細は他のところでも書きましたが、調べた中ではアメリカ合衆国に特有の現象だったそうで。

偽のくすり、贋のコマーシャル(4:03~)

さて、問題の個所は4:03あたりから始まります。Youtubeで動画視聴の場合は以下より。

https://youtu.be/JcPwIQ6GCj8?t=4m3s

CM内容

CMでは精神、および身体の諸症状の有無が問いかけられます。

途中、「Antohypochondriasis」とか、「Invisible illness disorder(略してIID)」にも効くと謳われます。

ちょっと脱線

前回の記事でも紹介しましたが、Hypochondriasisは「心気症(しんきしょう、思い込み病)」という意味だそうで。それにAnto-の否定接頭辞(らしきもの)がついています。

「Antohypochondriasis」でググってみても引っかかってこないので、「Anto」単独で調べてみると、以下の用例が見つかりました(『英辞郎 on the WEB』より引用)。

antodontalgic
【名】
歯痛止め(薬)
【形】
歯痛止めの

さらに「antodontalgic」を調べてみたらば、『Weblio英語表現辞典』に以下の記載が。

備考 antiodontalgicとも言う

ふむ。「Antiohypochondriasis」だと引っかかりませんが、「Antihypochondriasis」だとググれば見つかりますね。恐らくこれでしょう。

閑話休題

さて心気症(hypochondriasis)とは、病的な状態にあると患者自身が思い込みそれを訴えることを言うようです。その否定形、すなわち病的な状態にあるのに、決して病気ではないと思い込み積極的な治療を避ける症状とでも言いましょうか。

また「Invisible illness disorder」を直訳してみると、「不可視の 病気 障害」すなわち原因不明の不定愁訴みたいなものでしょうか。それに「IID」みたいなそれっぽい病名をつけて治療可能であると謳う。

一種のジョークですね。もちろんこのCM動画自体がジョークみたいなものですので、Joke of joke的な。

医薬業界は、何だって、どんな感覚だって病気に仕立ててしまうことを暗に皮肉る意図があるかまでは分かりませんけれども。

『contradictol』の御出まし

これら諸症状を治癒すると謳う医薬品、『contradictol(コントラディクトール)』。これは全くウソの薬です。

でも、こんなCMがテレビで流れたりしたら、結構売れそうじゃないですか?

実際、アメリカで流される医療用医薬品のCMが、消費者・患者にとっての医薬品に対する期待を煽るがためにプラシーボ効果がより出やすくなっていると推測されています。

抗うつ剤の一種『PROZAC(プロザック、日本未承認)』は、販売開始直後に認められていたプラシーボ効果に対する優越性が、現在ではかつてほど明確ではなくなってしまいました。

このことは治験によって薬の効果を実証することを難しくしています。

もっと奇妙なプラシーボ効果(4:57~)

プラシーボ効果の研究では、さまざまな現象が認められています。我々の想像を超えて。

プラシーボだとわかっていても

ある研究では、プラシーボ(偽薬)だと予め患者に伝えた上でプラシーボ効果が現れるかを確認しました。

なんと、効果が感じられたそうで。

もちろん研究室内での実験結果ということで、全ての環境でそうしたことが起こるか否かはっきりとしませんが、これは「過敏性腸症候群(IBS)」という難病の患者さんに対して行われた研究でした。詳細はこちら

プラシーボの有効成分

プラシーボには有効な成分、薬効成分が含まれない。それゆえ、効かないはずだ。

この論理には我々が「治癒」という現象に対して抱く前提の誤り、というか見過ごしがあります。心理的な側面、特に「期待」と呼ぶ作用がここに働けば治癒現象が起こりうるのだ、と考えなければなりません。

プラシーボの有効成分は「期待(Expectation)」だ。

そんな修辞的な表現も可能でしょう。本件に関しては、『「期待」の科学』という書籍が参考になります。

ノシーボ効果の存在

もちろん未来のことは未確定なので、良い期待をすることもできれば、悪い期待をすることもできまして。

プラシーボ効果には「悪魔の双子」と呼ばれる存在、ノシーボ効果という対義語があります。詳細はこちら

プラシーボ医療の可能性(5:27~)

プラセボ製薬では、英語コンテンツの日本語解説を通じて、特に中高生にプラシーボ効果のことを知ってもらいたいと考えています。まだまだ認知度を上げたいので

と同時に、プラシーボを用いた医療の可能性についても考えてみたい。本動画でも、医療応用について触れられていますね。

だましの倫理

「deception」という英単語があります。医師が吹き出し内で「suckers.(マヌケども)」と思いながら神妙な顔つきで手渡すソレは、プラシーボ(偽薬)に他なりません。

この場面で言われる“ディセプション”とは、「欺くこと」。

ヒポクラテス(hippocrates)が引き合いに出されますが、嘘はダメでしょう。倫理的に。という問題がいつだってプラシーボ医療には付きまといます。

ただ多くの臨床化が広い意味でのプラシーボ、例えば患者に熱心に時間を使って説明するフリをするだけでより治療効果が高められるのなら、どうしてそれをしないの?とも。

また脱線

Youtube字幕設定

正直に言えば、「hippocrates」のところがサッパリ聞き取れなかったので、youtubeの字幕設定(歯車ボタンから)を行い、英語字幕を表示してみました。残念ながら日本語字幕の自動翻訳がナイスな感じではありませんが、英語字幕でもあるだけ有難い話ではありませして。

再生速度までイジることができるなんて、凄い時代になったものです。見方を変えれば、英語学習に関しては言い訳(カネない、時間ない)の効かない時代になりましたということでもあるかなと。

未知の部分で

結局のところプラシーボ効果とは、科学的に説明のつかない治癒現象に取り敢えずの説明を付けるために想像された概念、説明原理です。

未だに「なぜ(why)」も「どのように(how)」も分からないそれらにだって、歴史的に見ればしっかりと応用されてきたわけで。

次に病気にかかった時、あなたの中に常駐してくれているお医者さんを気にかけていかがでしょうか。

Stay curious.

キメ台詞、カッコ良すぎ…。内容とは関係ないですが欧米人の表情と話術とジェスチャーを駆使したプレゼン技術、見習いたいものです。

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