高齢者向けプラスチックカップ『おくすりこくり』には服薬補助のアイデアが満載!

『おくすりこくり』は、利用者の声を反映したリニューアルが施されたようで。

おくすりこくり、って?

『おくすりこくり』は、カップと薬受けが一体化したアイデア商品です。

薬が上手く飲み込めない

薬をもらってきたはいいけれど上手く飲み込めなくて難儀している方は案外多く、子供から大人まで多岐にわたる年齢層の悩める服薬苦労人たちがおられます。薬が舌の上に残って苦みが広がっちゃう…という文字通りのニガイ経験はクスリ嫌いをつくる大きな原因ともなっています。

  • オブラートに包む
  • 服薬ゼリーを活用する

こうした解決策に加え、飲み込むという動作そのものに着目し問題解決を図ったアイデアコップ、それが『おくすりこくり』です。

医薬品を大量に飲む苦しみ

普通、錠剤やカプセル剤を飲み込むときは一粒一粒手に取り、口に入れ、コップから水を含んで飲み下します。ただし高齢者など多数の医薬品を服用している方の場合には、非常に手間が掛かったり、水を飲む量が増えて大変だったりと改善が求められていました。

上記のようにそもそも薬を飲み込むのが上手でない場合には、薬を飲むだけでお腹がたぷんたぷんになるほど水が必要で、水分摂取量や食事量と兼ね合いが難しくなっているなんてことも。薬を飲むために必要な栄養摂取が妨げられる…という事態は回避されるべきでしょう。

服薬に慣れている人であれば、必要量を一挙に手のひらへ載せ、全部を口に含み、水で流し込むこともできるでしょう(※とはいえ、過剰とは言えないまでも大量の服薬が健康に良いはずはなく、できることなら減薬・卒薬を医師や薬剤師に相談すべきかと思われます)。

しかし医薬品を飲むことの苦痛なんてない方が良いのは当然で、服薬行為自体にはまだまだ改善の余地あり。『おくすりこくり』は、この問題の一つの解決策になっています。

高齢者特有の問題

またお年寄りにとっては、「適切な医薬品を選び出し、包装を解いて手に取る」という作業そのものに困難を覚える場合があります。

老眼で手元が良く見えず、指先の動きも不確かになれば、小さな錠剤やカプセルをポロリと落としてしまうのもよくあること。人生に上手くいかないことは付き物ですが、高齢者にとって日常的な細かい作業が上手くいかないことは積み重なるストレスともなってしまいます。

飲みやすさと掴みやすさ。相反するトレードオフ課題は、薬それ自体で解決することが不可能です。

健康管理のための服薬のはずがストレス増大要因となり、“上手くいかないストレス”を避けるために服薬自体を避け、忘れてしまうという本末転倒が実際に生じています。

大量の残薬・飲み残し薬問題が取り沙汰されていますが、服薬時のちょっとした手間と困難という比較的小さな課題が積もり積もって大きな問題になっている可能性も。

掴むという極々基本的な動作にすら、工夫を凝らす余地があります。『おくすりこくり』の発想が活きるのも、そうした基本に根差したアイデアが組み込まれているためです。

取っ手、ふた付き

さて今回は新しい『おくすりこくり』を見てみましょう。まずリニューアル前のものと比較して、パッと見たところで大きな変化が二つ。

「取っ手」と「ふた」が付加されています。

取っ手

先程は薬そのもの、錠剤やカプセル剤そのものを指で掴むことが難しく、手からポロリと落としてしまう例を紹介しました。

掴む・持つことの困難はカップ自身にも存在し、多くの介護・介助用品が採用しているように『おくすりこくり』にも取っ手が加えられています。

以前のように、つるんとしたカップでは手が滑って水がこぼれて怒られて怒鳴り返して…というありがちな介護家族のやり取りに発展することもあったかもしれませんが、取っ手付きならそうした可能性も減ってくるような気が。

ふた

何かを保存する訳でなし、またコンビニで買ったコーヒーのように持ち運びを前提としたものでもなし、服薬用のプラスチックカップにふたを付ける利点がどこにあるのか…?と思われるかもしれません。

しかしこれが発想の勝利で、ふたをひっくり返せば薬受けに使うことができます。

PTPシート包装などからピッと錠剤を取り出す時、片手でシートを持ち、もう一方の手で受けるのは難しいでしょう。あるいは机の上に直接取り出してみたらコロコロと転がり落ちてしまうなんてことも。

しかし、ふちが盛り上がったふたの上に出すようにすれば、転がり落ちる心配もありません。

さらに言えば、ふた上面にメッセージを添えて被せることで服薬を忘れないようリマインダーの働きを持たせることもできてしまいます。

「わすれないモン!」

とおなじみのゆるキャラに言われれば、「おっ、そうだな」と忘れずに薬を飲むことができるでしょう。

基本性能の強化

もちろん以前からあった『おくすりこくり』の基本的な利点をリニューアル商品も引き継いでいます。

カップに配された内ブタの指定箇所に薬をおき、適量の水を注ぐ。

少々の習熟が必要となりますが、この状態から「水だけを飲む」ような意識で水を飲むと、あら不思議。今まで舌の上に残ったり、喉に引っかかったりしていた錠剤やカプセルがこくり飲み下せてしまいます。

引っかかることなく、こくり、と飲める。

『おくすりこくり』のネーミングに込められた基本的なアイデアは受け継がれ、さらに…。

細かな改善、多数のカイゼン

実はこの基本性能を、さらに強化する改善がいくつも重ねられています。

内ブタの注水口に付けられた傾斜、薬がくっつかないように施された凹凸表面処理、雑菌繁殖を防ぐ抗菌素材、煮沸消毒を可能とする耐熱性、水キレの良い飲み口、水量を図る目安線、食器洗い乾燥機使用可などなど。

自分自身や高齢の親などが薬を飲むことに、あるいは介護者・看護者として薬を飲ませることに何らかの難しさを感じている場合には『おくすりこくり』をお試しいただければと思います。