偽薬効果とは?

2014年10月21日 2015年9月11日

偽薬効果(dummy effect)

「偽薬効果」は時代遅れの言葉

「偽薬効果(ぎやく・こうか)」は、薬効成分を含まない偽薬によってもたらされるポジティブな治癒効果として広く受け容れられてきましたが、既に時代遅れの言葉として認識されつつあります。

その理由の一つは、ポジティブな治癒効果をもたらす対象が偽薬に限定されないことにあります。本来治療効果があるとされる行為を省いた「偽手術」などでも肯定的な治癒効果が現れることが知られるようになり、「偽薬」という限定的な言葉では捉え切れない現象だと認識されているからです。

またより重要な理由として、「プラシーボ」の訳語として「偽薬」があまりに不足であることが挙げられます。プラシーボが「科学的に説明のつかない治癒現象をもたらすもの」として否定形で非限定的にしか定義できない言葉なのに対し、偽薬は「薬の形をしているが、薬効成分を含まないもの」とあからさまで限定的に過ぎるからです。

参照:『帰無仮説を棄却することでは証明されない偽薬効果とプラシーボ|プラセブログ』『偽薬はプラシーボの象徴です!|プラセブログ』

「偽薬効果」と「プラシーボ効果」

「偽薬効果」という言葉は「その効果は偽薬(だけ)によるもの」という過去の認識に沿って便宜上使用されているに過ぎず、「プラシーボ効果」本来の意味を不当に小さく見せているように思われます。「プラシーボ効果」として示されるべき現象のありのままを表すことなく、単純化し過ぎている懸念があります。

偽薬が効いているのではなく、偽薬を用いた治療行為に関わる周辺事象の全体が被治療者に変化を及ぼしうるのではないかと考えられています。

したがって、「偽薬効果」という言葉は「プラシーボ効果」として扱うべきであろうと思われます。

同義語:プラシーボ効果プラセボ効果
関連語:偽薬偽手術
対義語:ノシーボ効果

訳語としての「偽薬効果」

偽薬(=薬効成分を含まない薬)がプラシーボの一例でしかないのと同様に、偽薬効果もプラシーボ効果の一例でしかありません。従って、“placebo effect(プラシーボ効果)”の訳語として「偽薬効果」を用いることは出来ない場合があります。

ただし、日本語話者における「偽薬効果」と「プラシーボ効果」(あるいは「プラセボ効果」)の使用頻度は圧倒的に後者が勝っているのではないかと思われますので、実質上の問題となることはあまり考えられません。

漢字四字の厳めしく権威を帯びた重厚な響きを示す効果(「偽薬効果」の一種)を利用する場合以外には、外来語をカタカナ語としてスムーズに採り入れうる日本語の強みを生かした「プラシーボ効果」あるいは「プラセボ効果」の使用をおすすめします。

※本稿では、“placebo effect”と「偽薬効果」との差異及び『プラシーボ辞典』内の整合性を鑑み、偽薬効果の訳語としてあまり一般的ではない“dummy effect”を用いています。

新たな「偽薬効果」の意味

偽薬が一般に流通し誰でも簡単に手に入れることができるようになったことが、「偽薬効果」に関する新たな解釈を生み出しました。

効果のある“ホンモノ”の薬(実薬)による害を、代替品として偽薬を用いることでなくす効果

そんな解釈が生まれています。

薬を飲みすぎる高齢者

健康不安を抱えるお年寄りの中には、薬を飲むことが健康体でいるための最低条件であると思い込んでいる方がおられます。

「薬を飲まなければ、身体を悪くしてしまう」

そうした切迫した感情は、依存症に近い状態を生み出します。特に睡眠導入剤や精神安定剤、抗不安剤といった薬がその対象となりやすく(他には頭痛薬を飲みたがる方も多い)、意識レベルが低下するほどに飲みすぎてしまうこともしばしば。

こうした状態はご本人にとっては“最高ではないけれど、止むを得ない状態”と捉えられ、日中ぼんやりしたり、フラフラと転倒リスクが高まっているにもかかわらず、“解消する(=薬をやめる)”ことは強く拒みます。

「薬を飲まなければ、今よりもっと悪い状態に…」

そうした不安が根底にあるように思われます。

偽薬の効果

周囲の介護者は薬を飲みたがる高齢者(特に認知症のある方)に対して、ホンモノであるとウソをつきつつ偽薬を服用させることで「薬を飲んでいる」という安心感を与えつつ、意識レベルの低下を抑えることができるようです。

意識レベルの低下、意識の混濁によって判断力が低下した際の行動は「問題行動」あるいは「BPSD」などと呼ばれますが、こうした行動が治まる例が報告されています。

これは立派な「偽薬の効果」と言ってよいものと思われます。医原病を引き起こしうる薬を、本人にそうとは知らせずに辞めさせることができる効果として「偽薬効果」は“使える”用語かもしれません。

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