プラセボ対照試験/偽治療対照試験とは?

2014年7月27日 2016年10月6日

プラセボ対照試験(偽薬対照試験、placebo-cotrolled study)

製薬会社が新たな医薬品を開発するための治験を実施する際、期待する効果が本当にあることを確認するために何らかの比較対象(対照群)を設定することが求められます。この時、対照群として偽薬介入群(プラセボ介入群)を用いるようデザインされた試験を「プラセボ対照試験(たいしょう・しけん)」と呼びます。

プラセボは比較しようとする新薬と色や形や味がそっくりなもので、薬効成分は一切含まないものを用意して、試験を受ける被験者だけでなく、試験を実施する試験者にも見分けがつかないように注意して作られ、使用されます。

新規の薬効成分を含む薬を投与する被験薬グループとプラセボを投与する偽薬グループをランダムに振り分けて比較検討し、偽薬グループよりも被験薬グループの方が有効であったと統計的に証明されて、初めて薬として認可されます

ただ実際には、倫理的な理由からプラセボではなく同一の薬効を持つ既存薬が比較対象として用いられることがあるようです。この場合には既存薬に対する新薬の優位性もしくは非劣位性が検証されることになります(参照:『実薬対照試験』)。

関連語:プラセボ盲検ランダム化
対義語:実薬対照試験
関連項目:医薬品とプラセボ効果

※当サイトでは同義語である「プラセボ」と「プラシーボ」について英語読みに近い「プラシーボ」を優先的に用いていますが、「プラセボ対照試験」に関してはその例に依らず「プラセボ」と表記しています。また表記の混用を避けるため、当記事では「プラセボ」を優先しています。

医薬品開発における治験

どうしてこのような、多大な手間とコスト(費用)のかかる面倒で込み入ったことまでしてプラセボ対照試験を実施しなければならないのでしょうか?

いくつか理由を挙げましょう。

「プラセボ効果」と「真の効果」を見分けるため

まず、「プラセボ効果」の存在があります。新しく開発された薬も「薬に見える」という理由だけで効いてしまう可能性があるのです。

新規医薬品の開発には莫大なお金が必要ですので、薬の価格もそれなりに高くなってしまいます。もし「見た目が薬っぽい」だけで効いているのに薬として認可されてしまえば、それを使う人は無駄にお金を支払うことになってしまいます。

したがって、新しい薬が有効であると認められるためには、薬効成分を含まないプラセボと比較することで「プラセボ」以上の効果(いわゆる「真の効果」)を統計的に証明しなければならないのです。

治験に参加する人たちの気分の問題

「病(やまい)は気から」という言葉を聞いたことはありませんか?健康や病気と言った体の状態は、気分に大きく左右されるのです。

治験においても、「これは本物の薬やから効くはずや!」とか「これはプラセボだから効くはずがない…」など、参加者の気分や期待がその試験結果を左右する要素になってしまうのです。また、「治験に参加している」という高揚した(?)気分が良好な結果につながる可能性も指摘されています。効くと思えば効いてしまうし、効かないと思えば全然効かない。

このような偏りを除くため、新規医薬品はプラセボ以上の効果を証明する必要に迫られるのです。「プラセボが効きました。でも、新規医薬品の方がも~っと効きました!」てな具合に。

その他

他にも色々な理由が指摘されていますが、とても専門的で難しい内容になってしまいますので、ご興味に従い各自で調べてみてください。

キーワード:疾病の自然経過、平均への回帰、診断・評価の主観的要素、アドオン試験(上乗せ試験)、二重盲検法無作為化(むさくいか)

また、特に頻出する組合せを解説した以下の記事もご参考に。

「二重盲検法・ランダム化・プラセボ対照の目的は原因の特定」 »

医薬品開発における現代的問題

現代においては、既に主要な症状に対する薬が開発し尽くされるか、どうにもこうにも対処できない病気が残され、新規に医薬品を開発することが非常に難しくなっています。

薬効成分を含まないプラセボと比較しても、その優位性を立証できなかった新規医薬品候補の例は枚挙に暇がありません。

しかし、ごくごく一部の製薬企業は大きな利益を生み出す新薬を開発したくてたまらないという状況が長く続く中、試験結果を操作するという禁じ手を採ることになってしまいました。生き残りを賭けて。

プラセボ対照試験は、製薬企業泣かせなのです。

「プラセボ」に関する問題

現在「プラセボ」と「偽薬」や「偽治療」は別のものと捉えられており、プラセボが対照とは言えない状況となっています。その意味では、「プラセボ対照試験」よりも「偽薬対照試験」あるいは「偽治療対照試験」と称した方が適切かもしれません。

参照:偽薬群とは?

科学実験とプラセボ対照試験

ヒトを対象とした臨床試験(治験)以外の基礎的な研究においても、プラセボ対照試験の概念は非常に重視されています。

化学物質や手技的療法など興味ある対象の効果を科学的に検証するためには、陰性の結果を期待する対照として必ずネガティブコントロールを設定しなければなりません。評価軸の基点であるゼロを設定し、基点からの差異を実際の効果とみなすためです。

このような試験法はあまりに一般的かつ科学的な言明をする際に必須の要件であるため「プラセボ対照試験」と呼ばれることすら、まずありません。何のことはないただの「科学実験」ですが、この単なる実験が実はたいていの場合にプラセボ対照試験のデザインを踏襲しています。

逆に、非臨牀の科学実験においてプラセボ対照試験が実施できない場合には科学的に妥当な何らかのエクスキューズ(いいわけ)が必要となります。

対照と対象

ちなみに「対照」とは、照らし合わせて比較するための対(ペア)となるもの。興味を持って見つめる相手・目標としての「対象」とは異なっていますのでご注意を。

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