シュードプラシーボとは?

2016年1月28日 2016年10月6日

シュードプラシーボ(シュードプラセボ、pseudo placebo)

シュードプラシーボとは、少量の薬効成分を含むが、検出可能な影響を人体に及ぼすほどの薬理学的効果は期待できない実薬のこと。医薬品の臨床試験で用いることがある。

例えば、人に投与した際に奏効すると考えられる成分の量が「10 mg」(あるいはそれ以上)のとき、同成分を「1 mg」含むものを対照とした試験を実施する。

このとき、「1 mg」を含むものは効果が期待できないことから、有効成分(であると証明したい化合物)を含む実薬と言えどプラシーボ(偽薬)の一種として扱えるものとみなす場合があり、特別に「シュード・プラシーボ」と呼ぶ。

pseudo

「シュード」は「pseudo」のカタカナ表記・発音であり、「偽りの、にせの、まがいの」を意味する。

「シュードプラシーボ」という言葉は「プラシーボ(偽薬)」自体に「偽りの」という意味があり、そこに「偽りの」を重ねて二重否定様に使用した、ある意味では面白い言葉。

なお総合感冒薬(風邪薬)などに含まれる「プソイドエフェドリン」も「pseudo-」の接頭辞が付く言葉であり、「プソイド」と読み方は違えど、おなじく「偽りの」という意味を表す。

無理やり日本語訳するなら「ニセ偽薬」、「擬似偽薬」と直訳するか、あるいは「過少成分対照薬」と意味的に捉えて訳する必要があるかもしれない。

関連語:プラシーボ陽性プラシーボプラシーボ対照試験実薬対照試験

どうしてシュードプラシーボを使う?

シュードプラシーボは治験(新薬の効果を評価する臨床試験)において用いられます。

その理由として考えられるのは、純粋なプラシーボを利用した試験が被験者の事前同意を得にくいためでしょうか。

インフォームド・コンセント

被験者「プラシーボとは何か?」

医師「薬効成分を含まない偽薬です」

被験者「あんたのとこは有効な治療もせずにニセのクスリでだます気か?」

医師「医薬品の効果の正確な判定には欠かせないものです」

被験者「それはそうかもしれないが、治る見込みもないなら参加は見送りたい」

インフォームド・コンセントは昨今の患者中心医療の要として、施療者側からの正確な情報の伝達と十分な理解を得る努力が必要とされます。

しかし、その正しい情報をどう解釈し、どのような行動をとるのかは各患者、各被験者に委ねられています。正しい情報を十分に理解した結果、臨床試験のシステムそのものに疑念を抱く可能性だってあります。

医学・薬学の発展のため実験体として自らの身体を差しだす、ある種の自己犠牲精神が意に沿わない場合、治験への参加は見送られることになるでしょう。

これでは治験参加者が集まらず、統計解析を行うのに十分な数の被験者を集めることができません。

心理的な壁を超える言い訳

そこで、何らかのエクスキューズ(被験者自身が治験参加に前向きになるような事柄)が必要になります。

それが、シュードプラシーボの「少量の成分を含む」ではないでしょうか。

奏効量ではないけれども、まったく成分を含まないわけではないことの重要性は、被験者自身の納得のためであると考えれば非常に合点がいくように思われます。

プラシーボ効果のこと

また、純粋な(有効であることを証明したい成分を一切含まない)プラシーボを対照として行う試験では、そこで見られた何らかの改善は「プラシーボ効果である」と結論付けるしかありません。

すなわち、「説明不可能である」と。

一方、シュードプラシーボを対照とした場合に対照群に見られた何らかの効果は、ある意味で「プラシーボ効果」であるとも言えますが、その純粋性には若干の疑い差し挟まれることになるでしょう。

ほんとうに“効かない”のか?

人における奏効成分量は、今まさに行おうとしているその試験が証明しようとしていることです(試験フェーズによっては異なる)。

従って、シュードプラシーボに対して“効かない”ことを期待するのは、ある種の思い込みや先入観など恣意的な基準に依らざるを得ません。

「少量の効果が期待できない実薬」は、本質的には、「少量のため効果を期待しない実薬」のことであり、こちらの定義がより現実的な認識であるように思われます。

ただ、もしかすると治験の現場ではこのような問題について解決策が提示されているのかもしれませんので、本記事は経過的なものとして掲載し、調査後の更新を続けたいと思います。

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